前回、『子どもへのまなざし』という本をご紹介しました。
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いい内容がありすぎて、1回ではご紹介しきれなかったので、今回も心に残った内容を記事にしようと思います。
子ども同士の遊びのなかで生まれるもの
佐々木さんは、ヴィゴツキーというソビエト(現在のロシア)の心理学者・発達学者の研究から、子どもたちが仲間同士の遊びのなかから、成長していく大切さを紹介されています。
子どもたちは、仲間といっしょに遊べるようになると、まずルールを作るそうです。
みんなで規則をつくり、規則を守り、仲間の承認を得てから役割を演じ、そして、自分の行動が、みんなから期待されている行動になっているのかどうかということも、子どもたちは自分で自分をチェックしながら、その範囲で自分が思いきりやりたいことを、やりたいようにふるまうのです。子どもは、仲間といっしょに遊ぶということは、自分がやりたいことはなにか、しかし、どこまでは抑制しなければいけないのか、がまんしなければいけないのか、制限しなければいけないのかということも、ちゃんとわきまえることであるということを知っているのです。
遊びの中で、
ルールを守ること
自分を出すこと
がまんすること
などを学んでいくのだそうです。
ルールが厳しくなるほど遊びに緊張感が生まれ、緊張の大きさが遊びの感動の大きさにつながってくそう。
こういう仲間との遊びの体験をしっかりと積み重ねることなしに、社会的ルールを守れるような健全な人格は、育たないであろうということを、ヴィゴツキーの研究はいっていると思います。
そうはじまり、ヴィゴツキーの研究の一部をご紹介されています。
その研究では、まだ学校にあがっていない子どもたち十数人の遊びの観察でした。
そこでは、小さな子どもたちが色々意見を出し合って遊びを造っていく様子が描写されています。
そして、佐々木さんは、これほどみごとな遊びは、現在の日本の子どもたちはおそらくできないだろうとおっしゃいっています。
しかも、学校へ入っている子はだれもいない。ヴィゴツキーたちも報告していますが、子どもたちは、この遊びの知恵を子どもたちだけで考えだしたのではなくて、年上の子どもたちと日ごろ遊ぶことによって、教えられている部分もいっぱいあると言っています。幼児期の子ども、学齢前の子どもたちの知恵だけで、これだけ遊べるとは思えないのです。やがて、彼らのお兄さん、お姉さんが学校から帰ってきて、合流して遊んで、こんどはより高度な遊びを教えられていくのだろうということをいっています。
幅広い年齢の子どもたちが一緒に遊んでいた。
その中で小さい子どもは年上の子どもの遊び方を見て学んでいた。
そうして、人とのコミュニケーションを学び、社会に出る準備をしっかりしていたんですね。
そういう練習が小さいころからできていないから、小学校へ入っても、友達はできにくいし、ルールを守り合う人間関係もできないし、ということになるのではないでしょうか。
このことを読んで、子どもの教育についてとっても考えさせられました。
習い事や勉強をさせれば、知識や技術は身につくかもしれません。
でも、人と人とのコミュニケーションは、遊びの中でしか身につかない。
子どもとよく週末に公園に行きます。
しかし、そこにやってくるのは、親子連ればかりです。
親が誘い合って来ていれば別ですが、子供同士が集まって遊んではいません。
たまに小学生くらいの子が数人で遊んでいるのは見ますが、同じ年齢の子達です。
わたしが小さいころは、近所のお姉ちゃんたちの中で遊ばせてもらっていました。
ご近所のいろんなおうちにおじゃましていました。
子供同士が約束してです。
近所のお姉ちゃん、妹、妹より年下の子、いろんな年齢の子がいました。
わたしの実家の近所はほとんどが昔から住んでいる、よくよく知っているおうちが多かったので、親たちも安心して外に出していたのだと思います。
今では、わたしの実家のまわりでも、そんな光景は見かけなくなりました。
小学校に上がる前の子どもたちだけで外で遊ぶなんて、今の日本では考えられなくなってしまいましたね。
誘拐や交通事故など、なにかあったらと思うと、ひとりで遊びに行かせるなんて、考えるだけでゾッとします。
色んな年齢の子どもたちが男女の区別なく遊ぶ中で学ぶ、ということがことができなくなってしまいました。
遊び方を知らないのですから、友達ができないわけです。
コミュニケーション能力なんて育つわけがないと、この本を読んで納得しました。
子ども同士で遊ぶことの大切さ
子どもにとってたいせつなことは、勉強の前に、友達と遊ぶことが十分にできるようになっていなければ、結局、社会人になっていけないということです。
習い事に行かせる前に、友達と遊ぶ時間をもつことの重要性を認識した言葉でした。
そして、モンテッソーリ教育の縦割り保育(モンテッソーリ教育のこどもの家では、異年齢の子どもたちが一緒に過ごします) のすばらしさをあらためて感じました。
年下の子どもは年上の子どもを見て真似をし、憧れ、年上の子どもは年下のお世話をし、教えることで自信につなげていく。
今、ご近所でしにくいことをこどもの家なら体験できるわけです。
いいなぁ。
わが家の近くにはないので、いけないわけですが;;
保育所や幼稚園で仲間と遊ぶ楽しさを知らないで育つと、思春期・青年期になってから、やり残したことをちがう形で取り戻そうとするそうです。
仲間との暴走やブランド商品へのあこがれなど。
極端な形になってあらわれるそうです。
乳幼児期や小学校での友達との関係は、質よりも量だそう。
できるだけたくさんの友達と遊ぶことがいいそうです。
そうしていると、中学生・高校生での思春期の時期に、気の合う友達を見つけて深い話ができる仲になれるのだとか。
最近は大人が見てわかりやすい、評価しやすいことばかり子どもに求めすぎて、子どもが不自然に育っているような気がします。
子供同士の遊びより、勉強を優先させておいて、社会に出るときになって、「コミュニケーション能力が重要だ」と言われても困りますよね。
習い事や塾もいいけど、子供同士で遊ぶことを、もっと大人が重要視することが必要です。
子どもたちだけではムリでも、保育所が一緒のお友達だったり、近所のお友達だったりと遊ぶ機会を作っていこうと思います。
ついつい、貴重な休みをのんびりすごしたいと思ってしまうのですよね…
いかんいかん。
この前、娘のお友達と子育て支援センターで遊びましたが、とっても楽しそうでした。
まだお友達と遊ぶのはへたくそですけどね(笑)
怒ったり、泣かされたりして、友達との距離感を覚えていくんだろうな。
親同士のコミュニケーションも重要だ、と思ったのでした。
その他にも、
しつけのこと
思春期のこと
豊かな社会の中でがまんできなくなってきていること
お父さんお母さんへのメッセージ
など、読み応えのある内容がたっぷりです。
何度も読み返したくなる本ですよ^^
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