『子どもへのまなざし』は童話館のぶっくくらぶで親のための本として届きました。
それなりに文字数があったので、読めるかな?と心配でしたが、仕事の昼休憩にコツコツ読み進めました。
内容が面白かったので、楽しみだったくらいです^^
著者の佐々木正美さんは、児童精神科のお医者さんです。
子どもの臨床にたずさわりながら、保育所や幼稚園で働く先生たちや一般市民の人たちと勉強会を何度も行われてきたそうです。
やさしい文章を読んでいると、
「なんだかわかりやすい講演会を聞いているみたい」
と思っていましたが、それもそのはず。
勉強会のひとつだった、20回近い講演録をまとめられたものでした。
語りかける口調で書かれた本は、読みやすくて、はげまされているようでした。
この1冊に、子育ての大切なことがたくさん詰まっていて!
その一部をご紹介しようと思います。
乳幼児期が人間の基礎を作る
この本では、乳幼児期が「人間の基礎を作る大事な時期」だと繰り返し訴えています。
佐々木さんは建物に例えて、
乳幼児期が基礎工事のときで、その後の時期を、たとえていいますと小学校、中学校、高等学校、大学、あるいは大学院、留学などというのは、あとから造っていく建築の部分です。
建物ならいったんこわして、更地にしてもう一回立て直すということもできます。でも、人間はそうはまいりません。かたむきそうになった建物に、突っかい棒をしたり、いろんなことをして、それこそ腫れ物にさわるようにして、そっとそっとこわれないようにしていくより方法がない、ということだってあるでしょう。
「A学校に行った」なんていうことは、家具や絨毯のようなもの。
いくらでもやり直しがきくけれども、基礎部分はそうはいかない。
基礎部分の乳幼児期はやり直しがしにくい、だから、親や保育所や幼稚園の先生はとても大事な仕事をしているんだよ、とおっしゃっています。
ではどうすればいいのか?
乳幼児期の育児は、ひとことでいえば、子どもの要求や期待に、できるだけ十分にこたえてあげることです。
子どもの要求にこたえてあげて、こちらから伝えたいことは、「こうするんでしょ、そうしちゃいけないんでしょ」と、おだやかに何回もくり返し伝えればいいのです。いらだったり、しかったりする必要はないのです。「いつできるかな、いつからできるかな」と、それだけのことで、だいたいいいのです。
なるほど~。
でも、それが一番難しいことなんですよね。
親や保護者の希望ばかりを、子どもに強く伝えすぎてしまう、賞罰を与えるというか、そういうやり方で、早くいい結果をだそうとする。あるいは、大人のほうが楽をしようとする。そういう育児がよくないのです。
ぎく。
っとした人、いませんか?
わたしですが^^;
ついつい、「こうしてくれたらいいな」という希望が押し付けになってしまいがち。
つぎの時代を生きる子どもたちに、十分に愛されることの喜びを与えること、育児はそれで十分なのですね。
というお言葉で、日々の育児を考えさせられました。
赤ちゃんが望んだことは満たしてあげる
赤ちゃんはとにかく手がかかります。
ひとりではなにもできませんから、当然です。
でも、赤ちゃんの望むままにしていていいのかな?
ひとりで寝ることや、我慢することを赤ちゃんの内から覚えさせるべき?
そうなってくれると楽だし……。
なんて、考えたこと、ありませんか?
わたしはありました。
でも、答えはわからないし、泣いている子どもを放っておくことなんてできませんでした。
でも、30年以上前のヨーロッパの実験で、赤ちゃんの要求は満たしてあげた方がいいということがわかっていたんです。
この本では、深夜の授乳を例にとって紹介されています。
赤ちゃんを二つのグループにわけて、一方は、泣いてもなにをしても深夜には授乳しない、昼間も規則正しく乳児院のやり方で定時授乳を守る。もう一方は、子どもが望むたび授乳をするというふうに、実験的な育児をしました。
最初のグループでは、だいたい1週間もすれば、たいていの赤ちゃんが翌日の朝まで泣かないでおっぱいを待てるようになるそうです。
なーんだ、1週間待てば泣かなくなるのか!
と、思いませんでした?
でも、その赤ちゃんはどんな人間に育つのか?
その後も追跡調査を続けたところ、
早くに泣かないで待てるようになった子は、困難にたいして早くギブアップする子だということがわかったそうなんです!
実験では、いつまでも泣いていた赤ちゃんもいたそうですが、その子の方が忍耐強いことがわかりました。
おっぱいをもらおうと、いつまでも泣き続けられる、努力を続けられる子だということがわかったそうです。
しかも、泣き止むしかなかった赤ちゃんは、周囲の人や世界にたいする根深い不信感と自分に対する無力感のような感情を持つということがわかりました。
反対に、望むたびに授乳をしたり、あやしたりされた赤ちゃんは、周囲の人や世界を信頼し、自分に対する自信が育まれるのだそう。
このことを読んだ時、ゾッとしました。
泣かせたまま放っておかなくてよかった。
もし、「自分で寝られるように、泣いていてもしばらく見ていよう」なんてことをしていたら、どうなっていたか……。
子どもには、自分で希望をもてば、そして努力をすれば、それらのことは多く実現するものなのですよ、ということを教えてあげることが大事なのです。
乳児期って、本当に大事な時期なんだな。
お母さんやお父さんに安心している子どもは、人見知りの時期をすぎると、まわりの人を信頼していきやすいそうです。
親に手をかけさせる子どものほうが、いい子だと思うのです。そうした子は、親や保育者が愛情をかけてやる機会が多いということですから、長い目でみれば、本当は育てやすい子なのです。小さいときに親を楽にさせてくれる子が、いい子だと思うのは、思いちがいなのです。
これを読んで、
「ああ、もっと早く知りたかった。そうしたら、もっともっと育児が楽しかったかもしれない」
と思いました。
できれば、妊娠中に出会いたかったなぁ。
2歳くらいまで、まわりの大人が要求に答え続けてくれた子どもは、その後のしつけがしやすくなるそうです。
人を信じて、自分のことも信じることができる子は、言われたことを素直に受け止めて、自分はできると信じることができるのでしょうね。
妊娠中に知りたかったこと
この本には、妊娠中のことも書かれているのですが、
その中に「教えておいてほしかった!」ということがありました。
98ページにこんなことが書かれています。
お母さんが妊娠中にうたっていた歌やよく口ずさんでいた歌が、生まれたあとの赤ちゃんの子守歌に、非常に効果があるということはわかっているのです。
そ、そうだったのか……!
生まれてからいくら子守歌を覚えて歌ってもダメだったわけです。
妊娠中から聞かせていなければいけなかったなんて。
誰か教えてくれていれば……。
子どもが生まれてから、「知っておきたかった!」という情報がたくさんあります。
特に妊娠中や出産直後は大切な時期なのに余裕がないので、後から知ることが多い。
『子どもへのまなざし』は、妊娠中のことから、子育ての大切なことが詰まっているので、妊活中の方、妊娠中の方にぜひ読んでほしいです。
もちろん、子育て中の方も、ぜひ。
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